2009/04/20

FIAA固定資産取引

(一)資産取得 

 ビジネスシナリオ

固定資産管理部門の従業員が、統合および非統合の資産取得を転記する際のさまざまな機能について学習します。FI-AAユーザ部門と債務管理ユーザ部門に加えて、入庫/請求書照合部門でも資産取引を入力することができます。

補助元帳としての固定資産管理

総勘定元帳と補助元帳の統合は、会計管理機能とロジスティクス機能の統合と同様に重要です。

資産取得の仕訳

1、債務管理と統合された資産取引

Dr資産100 Cr仕入先100

2、消込勘定を使用して転記された資産取引

Dr資産100 Cr未払金100

3、在庫/購買管理(MM)から転記された資産取引

Dr資産100 Cr仕入先100MMから)

4、内部採算により取得

通常、加工費を資本化するには、設備予算管理(IM)で設備投資案件(指図・プロジェクト)を登録して、建設仮勘定に決済し、さらに最終資産に決済します。

 

統合

 1、資産取得:FI-APとの統合

「借方資産、貸方仕入先」の転記は、債務管理で行われることもよくあります。

Dr資産100 Cr仕入先100

 2、資産取得:G/L勘定への統合

仕入先または資産勘定に転記すると、関連するG/L勘定(未払金および固定資産勘定)が当時に自動更新されます。

例:

補助元帳: Dr資産100 Cr仕入先100

総勘定元帳への自動転記: Dr固定資産100 Cr未払金

 3、資産取得:消込勘定への転記

資産取得転記が統合されていない場合は通常、消込勘定を使用します。

統合転記をおこなわない理由:

一、資産より前に請求書を受領した。

二、資産は納入されているが、請求書が納入されていない。

債務管理から消込勘定に行われる転記Dr消込勘定、消費税 Cr仕入先と、固定資産管理から消込勘定に行われる転記Dr資産 Cr消込勘定があります。この順序は取引によって決まります。

 4、資産取得:MM統合

流れ:購買依頼、購買発注、入庫、請求書照合、資産登録

入庫:購買発注を入力するさいに、入庫が転記されると資産を固定資産に直接転記して資本化するか(評価入庫)、請求書照合が転記されるまで資本化を行わないか(非評価入庫)を決定します。入庫仕訳:Dr資産 Cr入庫請求仮勘定

評価入庫の場合:請求書をあとで受領した場合:請求書金額と入庫時に転記された金額と間に差異が生じることがあります。この場合、資産にたいして調整転記が行われます。

非評価入庫の場合:資産は資本化されていないため、修正する必要ない。ただし、入庫日付が資本化日付として使用されます。

請求書照合:非評価入庫の場合、資産が資本化され。

請求書照合仕訳:Dr入庫請求仮勘定 Cr未払金

     請求書(Invoice)

 

例:MM から固定資産の取得の処理を行った場合、どの時点でどういう仕訳が起きますか?

解答:

評価入庫:資産/入庫請求仮勘定⇒請求書照合:入庫請求仮勘定/仕入先

非評価入庫−請求書照合:資産/仕入先

 

取引タイプ

伝票タイプによって、転記の処理方法が決まります。

一、伝票タイプAAの場合、割引を控除しないで総額を転記します。

二、伝票タイプANKNRN)の場合、資産に資本化される金額から割引額が差し引かれます(正味伝票タイプ)。

 

取引タイプグループ

すべての取引タイプは取引タイプグループに属します。取引タイプグループによって、取引タイプの特性が定義されます。

取引タイプグループ:10取得  2X除却  3X振替

取引タイプ:

100取得(購入)、110取得(内部生産)

210除却(売却)、200除却(破棄)

34X建設仮勘定からの振替、3XX関連会社振替 

 

その他

資本化日付(資産評価日から誘導)

取得年度および取得期間(転記日付から誘導)

 

T-CODE

ME21N 購買発注

AW01N 資産エクスプローラ

 

(二)資産除却

ビジネスシナリオ

固定資産管理部門の従業員が、統合および非統合の資産除却を転記する際のさまざまな機能について学習します。FI-AAユーザ部門と債権管理ユーザ部門の両方で資産取引を入力することができます。

 

資産除却の仕訳

例:除却 

取得日YYYY-11日、取得原価=6000

YYYY315日における取得価額の完全除却

収益4000400

債権管理転記 損益計算書

Dr 得意先4400

Cr 収入4000 

Cr 税400

資産転記 損益計算書

Dr 資産除却消込4000

Dr 損失1300

Dr 資産700(比例値調整:減価償却累計額)

Cr 資産6000

分析 

この例では、得意先から収益を受け取り、資産が完全に除却されています。損益(1300の損失)が自動的に計算されます。さらに、資産価額と比例値調整(減価償却累計額)も算出されています。

「売却額」と「除却消込」の勘定の金額は、貸借対照表の注記として表示します。

 

一括除却

手順

1.資産レポートを使用して、除却する資産の一覧を作成します。

2.ワークリストを登録します。

3.ワークリストの目的を選択します。

除却(破棄)

除却(売却)(収益あり)

4.収益の配賦方法を入力します。

5.必要に応じてワークリストを編集してからリリースします。

 

(三)資産振替

ビジネスシナリオ

固定資産管理部門の従業員が、会社内および関連会社間の資産振替を転記する際のさまざまな機能について学習します。

誤った資産クラスを選択したことによる会社コード内の資産振替に特に関心があります。企業内での資産振替と企業の境界を超えた資産振替の処理には、異なるバリアントを使用しあす。

 

会社コード内振替の理由には、次のようなものがあります。

1、マスタレコードが誤った資産クラスで登録され、転記されている。

2、資産の場所が変更された。そのため、マスタレコードの組織割当(資産クラス、事業領域など)を変更以外の方法で変えなければならない。

3、資産を分割する必要がある。そのため、元資産の一部を新しい資産に振り返る。

4、在庫品目(企業が生産・購入した商品)を資産に振り替える必要がある。

 

関連会社間振替の場合、以下の点を区別する必要があります。

1、会社内の法的に独立した単位内における振替であるかどうか。両方の会社コードが同じ会社に属する場合、SAPでは関係タイプ02の振替をします。この場合、二つの会社コードは同じ法的単位の一部と見なされます。

2、互いに異なる会社に属する、法的に独立した組織(会社コード)間の振替であるかどうか。この場合、会社コードは会社によって相互にリンクされておらず、連結対照グループ(企業グループ)に属します。このシナリオも関係タイプを使用して定義され、関係タイプ01の振替です。

     関係タイプは、会社コードの会社IDを使用して自動的に決まります。

     会社の定義は、関連する商法に従って個別財務諸表を作成する必要がある最小の組織です。

 

振替方法

1、総額法

元会社コードの元資産価額:取得価額100、累計額30

目標会社コードの受取資産価額:取得価額100、累計額30

2、正味額法

元会社コードの元資産価額:取得価額100、累計額30

目標会社コードの受取資産価額:取得価額70、累計額

3、新評価方法

元会社コードの元資産価額:取得価額100、累計額30

目標会社コードの受取資産価額:取得価額50、累計額

 

(四)建設仮勘定(AuC

ビジネスシナリオ

固定資産管理部門の従業員から建設仮勘定の決済のデモンストレーションを依頼されました。

建設仮勘定の資本化

自社で生産する資産には、固定資産管理に関連する以下の二つの段階があります。

建設段階

耐用年数段階

通常、これらの二つの段階では二つの異なる貸借対照表項目に資産を表示しなければなりません。そのため、建設段階と完成資産では異なるオブジェクトや資産マスタレコードを使用して、資産を管理する必要があります。

建設段階から完成資産への振替は、建設仮勘定の資本化と呼ばれます。

FI-AAでは、次のように「建設段階」を管理することができます。

一、「通常の」資産管理マスタレコードとして(集計決済を使用)

二、明細管理ありの資産マスタレコードとして

設備予算管理

より大規模な設備投資案件がある場合は、SAP設備予算管理(IM)を使用することが出来ます。これによって、建設仮勘定(会計管理目的)と内部指図またはプロジェクト(管理会計目的)として同時に資本投資を管理することが出来ます。